自給自足はどこまでやれば得になるのか?実際に鶏・野菜・DIYを始めて分かったこと

自給自足

自給自足はどこまでやれば得になるのか?家庭菜園・鶏・DIYを続けて見えた「得するライン」

自給自足と聞くと、広い畑で米や野菜を作り、鶏から卵をもらい、薪で風呂を沸かすような暮らしを想像するかもしれません。

確かに、生活に必要なものを自分で作れるようになれば、スーパーや電気、業者に頼る金額は減っていきます。

しかし、実際に家庭菜園や鶏の飼育、DIYを始めてみると、ひとつの疑問が出てきます。

自給自足は、本当にやればやるほど得になるのか。

結論から言うと、何でも自分で作れば得になるわけではありません。

むしろ、手間や設備費を考えずに範囲を広げると、買った方が安かったということも普通にあります。

私自身、キュウリ、ナス、オクラ、ゴーヤ、モロヘイヤ、空心菜、ローゼル、トマト、シソ、ニラ、ミョウガ、ブルーベリーなどを育て、鶏も飼っています。

古い家の修理や鶏舎の製作、給水設備の改良も、できるだけ自分で行っています。

今回は、そんな生活を続ける中で感じた、自給自足の得する部分と、やりすぎると損をする部分について考えてみます。


自給自足は「全部自分で作ること」ではない

完全な自給自足を目指すなら、食料だけでなく、水、燃料、住まい、衣類、道具まで自分で用意しなければなりません。

しかし、現代の生活でそこまでやるのは現実的ではありません。

農機具や工具を作るための鉄を掘るところから始めたら、それだけで人生が終わりそうです。

実際には、

  • 野菜の一部を育てる
  • 卵を鶏から得る
  • 壊れた設備を自分で直す
  • 必要な部品を3Dプリンターで作る
  • 水道水ではなく井戸水を使う

といった、生活の一部分を自分でまかなう形が現実的です。

私はこれを、完全な自給自足ではなく「部分自給」と考えています。

全部を自分で作ろうとするのではなく、得意なところ、効果が大きいところだけを自分で行う。

この方が、長く続けやすく、結果的に得になります。


自給自足が得になるかは4つで決まる

自給自足が得になるかどうかは、単純な販売価格だけでは判断できません。

私は次の4つで考えています。

1.実際にいくら節約できるか

まずは、作った物を店で買った場合の金額です。

キュウリ、ナス、オクラ、トマトなどは、収穫が続けばそれなりの金額になります。

卵も、毎日数個採れるようになれば、スーパーで買う回数を減らせます。

ただし、収穫した野菜を食べ切れずに傷ませてしまえば、節約にはなりません。

作った量ではなく、実際に家庭で消費できた量で考える必要があります。

2.初期費用がいくらかかったか

家庭菜園には、苗、種、肥料、支柱、防虫ネット、散水用品などが必要です。

鶏には、鶏舎、金網、餌入れ、給水器、飼料が必要です。

自給自足を始めた最初の年は、節約どころか赤字になることもあります。

しかし、支柱やネット、鶏舎、工具などを何年も使えるなら、1年あたりの負担は少なくなります。

重要なのは、初期費用をその年だけで回収しようとしないことです。

3.どれだけ時間がかかるか

家庭菜園では、水やり、草取り、誘引、摘心、収穫が必要です。

鶏は、餌やり、水替え、掃除、体調確認が必要です。

DIYでは、作業そのものより、寸法を測ったり、部品を探したり、やり直したりする時間の方が長いこともあります。

時給だけで考えれば、買った方が安い物は多いです。

ただし、作業が趣味や運動を兼ねているなら、単純に労働時間として扱う必要はありません。

畑仕事や鶏の世話を苦痛と感じるか、楽しみと感じるかで、損得は大きく変わります。

4.生活がどれだけ良くなるか

自給自足の価値は、お金だけではありません。

庭に出ればキュウリやシソを採れる。

鶏舎に行けば、その日に産まれた卵がある。

ブルーベリーを摘んで、そのまま食べられる。

水道料金をあまり気にせず、井戸水で畑に水をまける。

こうした便利さや安心感は、スーパーの価格表だけでは計算できません。


家庭菜園で得になりやすい野菜

私が育てている中で、家庭菜園と相性が良いと感じるのは、何度も収穫できる野菜です。

キュウリ

キュウリは成長が早く、収穫期に入ると次々に実ができます。

ただし、見逃すと驚くほど大きくなります。

昨日まで普通だったキュウリが、翌日には鈍器のようになっていることもあります。

収穫量は多いため、漬物や冷や汁など、消費方法を用意できれば得になりやすい野菜です。

オクラ

オクラも、株が育てば繰り返し収穫できます。

比較的暑さに強く、夏の家庭菜園では使いやすい野菜です。

こちらも収穫が遅れると硬くなるため、こまめに畑を見る必要があります。

ナス

ナスは長期間収穫でき、料理にも使いやすいです。

焼きナス、炒め物、麻婆ナス、漬物など使い道が多いため、収穫した分を無駄にしにくい利点があります。

ゴーヤ・モロヘイヤ・空心菜

真夏でも元気に育つ野菜は、暑い時期の自給に向いています。

特に葉物野菜が少なくなる夏に、モロヘイヤや空心菜を収穫できるのは助かります。

スーパーで買うと量の割に高いこともあるため、自宅で育てる価値があります。

シソ・ニラ・ミョウガ

薬味類は、一度に少しだけ使いたいことが多いです。

スーパーで一袋買っても使い切れず、冷蔵庫の奥で静かに消えていくことがあります。

庭に植えておけば、必要な分だけ採れます。

派手な節約額ではありませんが、無駄が少なく、満足度はかなり高いです。


果樹は時間がかかるが、長く続けるほど得になる

我が家では、ブルーベリーも育てています。

果樹は苗木の購入費が高く、植えた年から大量に収穫できるわけではありません。

剪定、肥料、水やり、防鳥対策なども必要です。

そのため、短期間で元を取ろうとすると得になりにくいです。

しかし、木が大きくなれば、毎年繰り返し収穫できます。

ブルーベリーは店で買うと比較的高く、収穫してすぐ食べられる価値もあります。

果樹は、1年単位ではなく、5年、10年単位で考える自給自足です。

長く同じ場所に住む予定なら、早めに植えておく価値があります。


鶏を飼えば卵代は安くなるのか

鶏を飼うと、毎日のように卵を得られます。

一見すると、卵を買わなくて済むため、かなり得に思えます。

しかし、実際には次の費用がかかります。

  • 鶏舎
  • 金網やネット
  • 給水器
  • 餌入れ
  • 床材
  • 病気やケガへの対策

鶏は機械ではないので、毎日必ず同じ数の卵を産むわけでもありません。

暑さ、寒さ、換羽、年齢、ストレスなどで産卵数は変わります。

そのため、卵代だけで飼育費を回収しようとすると、思ったより時間がかかります。

それでも、鶏を飼う価値は卵だけではありません。

野菜くずや虫を食べ、鶏ふんは堆肥として畑に戻せます。

鶏の様子を見る楽しさもあります。

鶏を飼うというより、庭の中に小さな循環を作っている感覚に近いです。

卵だけを目的にするなら買った方が安い。
卵、楽しさ、堆肥、安心感まで含めるなら飼う価値がある。

今のところ、これが私の結論です。


井戸水は自給自足と相性が良い

家庭菜園では、意外と多くの水を使います。

夏場に毎日水道水を使うと、水道料金も気になります。

井戸水を使える環境なら、畑や鶏舎の給水に利用できます。

もちろん、井戸ポンプの電気代や修理費はかかります。

飲用する場合は水質検査も必要です。

それでも、野菜への水やりや掃除に使える水が身近にあるのは、大きな安心感があります。

現在は、鶏の水替えの手間を減らすため、自動給水の仕組みも考えています。

給水器を設置するだけでなく、ホースや接続部品、固定方法まで含めて、自分の環境に合う形に作り変えています。

自給自足は、食料を作ることだけではありません。

生活を維持する仕組みを自分で作ることも、自給自足の一部です。


DIYは一番得になりやすい自給自足かもしれない

家庭菜園や鶏の飼育は、節約額だけを見ると大きくない場合があります。

一方で、DIYは金額的な効果が大きくなりやすいです。

古い家の床や壁を直す。

棚を作る。

配管を直す。

鶏舎や産卵箱を作る。

必要な部品を3Dプリンターで製作する。

こうした作業を業者や製作会社に依頼すれば、人件費がかかります。

自分でできれば、基本的には材料費だけで済みます。

もちろん、失敗して材料を無駄にすることもあります。

作った部品が一発で合わず、2個目、3個目を作ることもあります。

それでも、身につけた技術は次の作業でも使えます。

家庭菜園は野菜を収穫したら一度食べて終わりですが、DIYの技術は何度でも使えます。

その意味では、技術の自給が最も利益を生みやすいのかもしれません。


得になりにくい自給自足

自給自足なら何でも得になるわけではありません。

特に注意したいのが、次のようなものです。

市販価格が安いもの

スーパーで一年中安く買えるものは、自分で作っても金額的に勝ちにくいです。

広い畑や大量の肥料が必要なら、なおさらです。

専用の道具が必要なもの

一度しか使わない機械や工具を買うと、元を取りにくくなります。

自給自足を始めると、道具が欲しくなります。

そして、「この道具があれば節約できる」と考えて買い始めます。

気づけば、節約するために道具代を使っていることがあります。

食べ切れないほど作ること

大量に収穫できても、食べ切れなければ得にはなりません。

保存、冷凍、乾燥、漬物、配る相手まで考えておく必要があります。

家庭菜園では、収穫量よりも消費量に合わせる方が重要です。

管理が苦痛になるもの

毎日の水やり、草取り、餌やりが嫌になってしまうと続きません。

自給自足は、続けて初めて得になります。

途中でやめると、初期費用だけが残ります。


私が考える「得になる自給自足のライン」

現在の私の生活では、次のようなものは続ける価値があると感じています。

  • 夏野菜を中心とした多品目の家庭菜園
  • シソ、ニラ、ミョウガなどの薬味
  • ブルーベリーなどの果樹
  • 鶏の飼育と卵
  • 鶏ふんや生ごみの堆肥利用
  • 井戸水の利用
  • 家や鶏舎のDIY
  • 3Dプリンターによる専用部品の製作

一方で、安く売られている物を無理に全部作ろうとは思いません。

飼料、調味料、加工食品、日用品などは、買った方が効率的なものも多いです。

重要なのは、自給率100%を目指すことではありません。

自分で作った方が楽しい、便利、安心、安い。

このうち、2つ以上に当てはまるものを自分で行うくらいが、ちょうど良いと考えています。


結論:自給自足は生活の3割くらいがちょうどいい

自給自足は、やればやるほど得になるものではありません。

範囲を広げすぎると、生活のほとんどが維持作業になってしまいます。

野菜の一部を作る。

薬味を庭から採る。

卵を鶏からもらう。

水を井戸から使う。

家や設備を自分で直す。

必要な部品を自分で作る。

それ以外は、無理せず買う。

私は、生活の2割から3割ほどを自分でまかなうくらいが、費用、時間、楽しさのバランスが良いと感じています。

完全な自給自足ではありません。

しかし、昨日まで買うしかなかったものを、今日は自分で作れる。

その積み重ねによって、生活費だけでなく、暮らしに対する安心感も少しずつ増えていきます。

自給自足で本当に得をするために必要なのは、何でも作る能力ではありません。

何を自分で作り、何を買うかを判断する能力です。

これからも、無理に自給率を上げるのではなく、自分の生活に合った「ちょうどいい自給」を探していこうと思います。

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