鶏の水替えを少しでも楽にするため、ホースから自動で水を供給できる給水システムを製作しています。
前回は、3種類の給水器を内径12mmのホースへ接続するため、専用のタケノコプラグを3Dプリンターで作りました。
今回はその続きとして、側面ニップル式給水器の下に取り付ける「液垂れ防止トレー」を製作します。
側面ニップル式の給水器は、水が容器の外へ出たままにならないため、一般的な水皿よりも水を清潔に保ちやすいのがメリットです。
しかし、実際に鶏が水を飲むと、ニップルから出た水の一部が下へ垂れることがあります。
少量の水でも毎日続けば、鶏舎の床や敷材が濡れる原因になります。
そこで今回は、垂れた水を受け止め、さらにその水を鶏が飲めるトレーを作ってみました。
鶏の自動給水器を自作①|3種類の給水器をホースにつなぐタケノコプラグを製作
側面ニップル式給水器の液垂れが気になる
側面ニップル式給水器は、鶏が赤い部分をくちばしで押すと水が出る仕組みです。
鶏が必要なときだけ水を出せるため、水皿のように餌やフンが入り続けることはありません。
自動給水にも使いやすく、鶏の水替えを減らすには便利な給水器です。
ただし、鶏が出てきた水をすべて飲み切れるわけではありません。
ニップルから直接落ちる水や、くちばしからこぼれる水が少しずつ下へ垂れます。
そのまま使用すると、次のような問題が考えられます。
・給水器の下へ水が落ちる
・床や敷材が湿りやすくなる
・餌やフンが水分と混ざりやすくなる
・給水器周辺の掃除が増える
・出した水の一部が無駄になる
一度に垂れる量はわずかでも、毎日何羽もの鶏が使えば無視できません。
そこで、ニップルの真下へ取り付ける専用トレーを作ることにしました。
液垂れ防止トレーをFusion 360で設計
市販の側面ニップル式給水器にも、水受けが付いた製品はあります。
しかし、今回使用する給水器には、垂れた水を受けるトレーが付いていません。
別の容器を下へ置く方法もありますが、位置がずれたり、鶏に動かされたりする可能性があります。
それなら、給水器へ直接取り付けられる専用部品を作った方が使いやすそうです。
今回はFusion 360を使い、側面ニップル式給水器の形状に合わせてトレーを設計しました。

トレーは、ニップルの真下へ来るように配置しています。
給水器からトレーまでの距離を短くすることで、垂れた水が床へ落ちる前に受け止める狙いです。
トレーを支えるアームと給水器へ固定する部分は一体化しました。
別々の部品を組み合わせるよりも、部品点数を減らせるうえ、位置がずれにくくなります。
垂れた水を鶏がもう一度飲める仕様
今回作ったトレーは、単純に水を受け止めるだけではありません。
ニップルから垂れた水をトレーに溜め、鶏がその水をもう一度飲める形にしています。
水を受けたあと、そのまま排水する構造では、鶏舎の床は濡れにくくなっても、水は無駄になります。
そこで、少量の水が残る丸い皿状のトレーにしました。
「こぼれたなら、もう一度飲んでもらえばいい」という単純な発想ですが、床の濡れと水の無駄を同時に減らせます。
トレーの先端には、鶏がくちばしを入れられる大きさの受け皿を設けています。
ただし、トレーが大きすぎると鶏舎内で邪魔になり、小さすぎると垂れた水を十分に受け止められません。
最終的な大きさや位置は、実際に使用しながら調整する予定です。
3Dプリンターで試作品を製作
Fusion 360で作ったデータを使い、3Dプリンターで液垂れ防止トレーの試作品を製作しました。

写真のオレンジ色の部分が、今回製作した液垂れ防止トレーです。
給水器へ仮組みしてみると、ニップルの下へ受け皿を配置できました。
鶏がニップルを押した際にこぼれた水を、下のトレーで受け止める構造です。
市販部品だけでは希望する位置へトレーを取り付けるのが難しいですが、3Dプリンターなら使用する給水器に合わせて形を調整できます。
「あと数ミリ前へ出したい」「受け皿を少し深くしたい」といった変更ができるのは、自作ならではのメリットです。
見た目は小さな部品ですが、毎日の給水に使うことを考えると、地味に重要な仕事をしてくれそうです。
現在は設計と仮組みまで
現時点では、液垂れ防止トレーの設計と試作品の仮組みまで完了しています。
自動給水システムに必要なホースや接続部品がまだすべて揃っていないため、鶏舎への設置や通水試験は行っていません。
そのため、現段階では「完成品」ではなく、あくまでも試作品です。
部品が揃ったら、実際に鶏舎へ取り付け、次の点を確認します。
・ニップルから垂れた水を十分に受けられるか
・鶏がトレーに溜まった水を飲むか
・トレーの位置と高さは適切か
・水がトレーの外へ飛び散らないか
・餌やフンが入りやすくないか
・トレーを簡単に洗えるか
・鶏がつついても外れないか
・長期間使用しても破損しないか
Fusion 360上では問題なく見えても、実際に水を流し、鶏に使ってもらわなければ分からない部分があります。
特に気になるのは、トレーへ溜まった水の汚れ方です。
水を再び飲めるのはメリットですが、餌やゴミが入りやすければ、掃除の手間が増えてしまいます。
使用後の状態を確認しながら、必要であればトレーの深さや形、取り外し方法を改良します。
3Dプリンターなら失敗しても修正できる
今回のような専用部品を作るとき、3Dプリンターの便利さを改めて感じます。
市販品では、使っている給水器へ完全に合う部品が見つかるとは限りません。
しかし、自分で設計すれば、使用する給水器や鶏舎の環境に合わせた形にできます。
もちろん、一度で理想どおりに完成するとは限りません。
実際に使ってみると、トレーが浅すぎたり、位置が少しずれていたり、鶏が予想外の使い方をしたりする可能性があります。
その場合でも、Fusion 360で寸法を修正し、もう一度印刷できます。
人間が完璧だと思った設計でも、最終的な審査員は鶏です。
鶏から厳しいダメ出しを受けたら、素直に作り直します。
まとめ
今回は、側面ニップル式給水器の液垂れ対策として、専用の水受けトレーを設計し、3Dプリンターで試作品を製作しました。
今回のトレーには、次の3つの役割があります。
・ニップルから垂れた水を受け止める
・鶏舎の床や敷材が濡れるのを減らす
・トレーへ溜まった水を鶏がもう一度飲めるようにする
現時点では、給水器へ仮組みして形状を確認した段階です。
自動給水に必要な部品がまだすべて揃っていないため、鶏舎への設置や通水試験は行っていません。
部品が揃ったら実際に水を流し、液垂れをどの程度受けられるのか、鶏が問題なく使えるのかを確認します。
自動給水システムの完成まではもう少しです。
少しずつ部品を作りながら、鶏にも人間にも使いやすい給水方法を目指して改良していきます。


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