60Lのプラスチックドラムを使って作った、鶏用の自動給餌器。
実際に鶏たちに使ってもらいながら少しずつ改良しているのですが、なかなか手強い問題があります。
それが「餌こぼれ」です。
以前使っていたフードポートは、60Lドラムの曲面にそのまま取り付けていたため、かなり斜め下向きになっていました。
この状態で鶏が餌を食べると、くちばしで掻き出した餌がそのまま外へ。
気が付くと、ドラムの周りにかなりの量の餌が落ちています。
多少こぼすくらいなら仕方ありません。
でも、これはさすがにもったいない。
そこで今回は、60Lプラスチックドラム専用としてフードポートをさらに改良することにしました。
今回変更したのは大きく2点です。
・専用スペーサーを追加して、フードポートを水平に近い角度で取り付ける
・フードポートに「返し」を追加して、餌を外へ掻き出しにくくする
今回は「こぼれた餌をどうするか」ではなく、
「そもそも餌をこぼれにくくできないか?」
という方向から対策してみます。

そもそもの原因は60Lドラムの曲面
今回使っている60Lプラスチックドラムは、側面が完全な垂直ではありません。
特にフードポートを取り付けている下側は丸く湾曲しています。
その曲面へフードポートを直接取り付けると、ドラムの形に引っ張られてフードポートまで斜めになります。
以前はこの角度がかなり大きく、入口側が下を向いている状態でした。
これでは鶏が餌を掻いたときに、餌が外へ出やすいのも当然です。
そこで考えたのが、
「ドラムとフードポートの間に専用スペーサーを入れて、角度そのものを補正する」
という方法です。
一番苦労したのは3Dデータ作り
今回一番大変だったのは、3Dプリンターで印刷する作業ではありません。
60Lプラスチックドラムの曲面に合うデータを作ることでした。
こういう形は、直径を測って円を描けば終わり……というほど単純ではありません。
ドラムの下側は丸く変化していて、取り付ける位置によって曲面の角度も変わります。
しかも今回は3Dスキャナーなし。
ドラムをスキャンして正確な形状をCADへ取り込んでいるわけではありません。
実物のドラムを見ながら、
「この辺はこれくらいの角度か?」
「もう少し厚くした方が水平になるか?」
「曲面はもう少し強いか?」
と何度も確認。
寸法を見直して、形を直して、また確認。
画面上では良さそうに見えても、実物へ取り付けるまで本当に合うのか分かりません。
3Dプリンターというと印刷しているところが一番目立ちますが、実際にはこういうデータ作りの方が圧倒的に頭を使います。

印刷ボタンを押すころには、
「頼むから合ってくれ」
という気分でした。
専用スペーサーはまさかの一発で実用成功
完成したスペーサーを、実際に60Lドラムへ合わせてみます。
正直、ここから何度か修正することも覚悟していました。
3Dスキャナーなしで曲面を合わせているので、完全に同じ形になる保証はありません。
実際に当ててみると、ほんのわずかに隙間があります。
「やっぱり完全には合わなかったか?」
と思いましたが、ここで固定リングを締め込んでいきます。
すると、プラスチック製のドラム側がほんの少したわみ、スペーサーとの隙間がなくなってしっかり密着しました。
結果的には、最初に印刷したスペーサーでそのまま使用可能。
まさかの一発成功です。
完全に同じ曲面を再現するのではなく、プラスチックドラムが少し変形することも利用して密着させる形になりました。
かなり時間をかけてデータを詰めた甲斐がありました。

スペーサーでフードポートを水平に近づける
今回作ったスペーサーは、単なる隙間埋めではありません。
60Lドラムの曲面によって発生する角度を補正するためのパーツです。
ドラムとフードポートの間にスペーサーを入れることで、以前は斜め下を向いていたフードポートを水平に近づけることができました。

横から見ると、以前よりかなり水平に近くなっています。
これなら鶏が餌を掻いても、以前のように重力に乗ってそのまま外へ滑り落ちる量を減らせそうです。
今回の改良で一番重要なのはここです。
「スペーサーを付けた」
ことと、
「フードポートを水平にした」
ことは別々の変更ではありません。
専用スペーサーを入れることで、フードポートの角度を補正しています。
さらに餌こぼれ防止の「返し」を追加
角度を直すだけでは終わりません。
フードポート本体にも改良を加えました。
今回は入口部分に、餌が外へ出にくくなるよう「返し」を追加しています。

鶏は餌を静かに一粒ずつ食べてくれるわけではありません。
くちばしを餌の中へ突っ込み、左右に動かしたり掻いたりします。
そのとき手前へ飛んできた餌が、そのまま入口を越えて外へ落ちていました。
そこで入口下側に立ち上がりを作り、掻き出された餌をできるだけポート内部に残す構造にしました。
もちろん返しを大きくしすぎれば、今度は鶏が食べにくくなります。
そのため、
「鶏は普通に食べられる」
「でも餌はできるだけ外へ出さない」
というバランスを狙っています。
正面から見ても餌へのアクセスは問題なさそう

正面から見ると、鶏が頭を入れるための開口部はしっかり確保できています。
奥の餌にも普通にアクセスできそうです。
入口の下側には返しがあるので、以前より餌がそのまま外へ飛び出しにくい構造になりました。
食べる穴そのものを小さくして餌こぼれを止めるのではなく、鶏の食べやすさを残しながら構造で対策するのが今回の狙いです。
今回の改良点は2つ
今回変更した部分を改めて整理すると、次の2点です。
1つ目。
60Lプラスチックドラム専用のスペーサーを追加して、斜めになっていたフードポートを水平に近い角度へ補正しました。
2つ目。
フードポート入口に返しを追加して、鶏が掻き出した餌を外へ落ちにくくしました。
特にスペーサーについては、3Dスキャナーを使わずにドラムの曲面を見ながらデータを作ったので、かなり苦労しました。
寸法を見直して、曲面を考えて、角度を調整。
印刷して実物へ合わせるまでは、本当に使えるのか分かりませんでした。
実際にはほんの少し隙間がありましたが、固定リングを締めることでプラスチックドラムが少したわみ、きれいに密着。
結果として最初の印刷でそのまま実用できました。
こういう「既製品では存在しない微妙な形状の部品」を自分で作れるのは、やっぱり3Dプリンターの面白いところです。
餌こぼれが本当に減るか、これで様子を見る
形としてはかなり狙い通りになりました。
ただし、まだ餌こぼれが解決したとは言えません。
こちらがどれだけ考えても、実際に使うのは鶏です。
「そこから掻き出すの?」
みたいなことを普通にやってくるので、最終的には実際に使わせて確認するしかありません。
今回は、
・スペーサーでフードポートを水平に近づける
・返しを追加して餌を掻き出しにくくする
この2つの対策を行いました。
これでドラム周辺へ落ちる餌がどのくらい減るのか。
しばらく使って様子を見てみます。
これでうまくいけば、60Lプラスチックドラム専用フードポートとしてかなり完成形に近づきそうです。
ダメだったら?
また作ります。
鶏との知恵比べは、まだまだ続きそうです。


