ハンドプレスを自作|ルミナスポール×3Dプリンターで高さ調整できる圧入機を作った

3Dプリンター・DIY

プレス機が欲しい。

レザークラフトや部品の圧入などをしていると、手で押し込んだり、ハンマーで叩いたりするよりも「上から真っ直ぐ押せる機械があったら楽なのに」と思う場面があります。

市販のハンドプレスを買えば話は早い。

しかし構造を見ているうちに、

「これ、自分で作れるんじゃないか?」

となりました。

ということで今回は、ルミナスポールと3Dプリンターを組み合わせてハンドプレスを自作しました。

自作したハンドプレス機

ルミナスポールを使ってハンドプレスを自作

完成したのがこちら。

支柱には、メタルラックなどに使われているルミナスポールを利用しています。

そのポールに3Dプリンターで製作した固定パーツを取り付け、プレス機構を固定しました。

作業物を置く丸いテーブル部分も3Dプリンター製です。

最初から全部を金属で作るのではなく、

強度が必要なところは既製品。

形状を自由に作りたいところは3Dプリンター。

という構成にしました。

この方法なら溶接などの大掛かりな金属加工をしなくても、かなり自由な設計ができます。

最初は3030アルミフレームで作るつもりだった

実は最初からルミナスポールを使う予定だったわけではありません。

当初は3030アルミフレームなどを使って、四角いフレームを組んでプレス機を作ろうと考えていました。

アルミフレームなら剛性もありますし、ボルトやブラケットを使って組み立てられるのでDIYには向いています。

ただし、必要な材料を揃えていくと意外と高い。

そして考えているうちに、

「今回の用途に、ここまで大げさなフレームが本当に必要なのか?」

という疑問が出てきました。

そこで目に入ったのがルミナスポール。

もともと重量物を載せるラックの支柱として使われる物なので、思っていた以上にしっかりしています。

プレスする方向に対して十分な強度が確保できるなら、わざわざ大きなフレームを組む必要はありません。

なら、これを支柱にしてしまおう。

ということで一気に構造がシンプルになりました。

必要な部分だけ3Dプリンターで作る

今回3Dプリンターで作った大きな部品は、

プレス機構をポールへ固定する部分と、作業物を置くテーブル部分です。

市販品だけで組もうとすると、こういう「ちょうどいい接続部品」がなかなかありません。

しかし3Dプリンターなら、

ポールの直径。

取り付ける機械の穴位置。

ボルトの位置。

必要な厚み。

こういった寸法を自分で決められます。

存在しない部品なら作ってしまえばいい。

3Dプリンターを持っていると、この考え方が普通になってきます。

Fusion 360で設計した固定パーツとテーブル

今回もFusion 360でプレス機用の固定パーツとテーブルを設計しました。

特にポールを掴む部分は、できるだけガタが出ないように形状を合わせています。

市販品同士を組み合わせるだけでは作れない形でも、CADで設計してしまえば作ることができます。

高さ調整が簡単なのも大きなメリット

今回の構造でかなり気に入っているのが、高さ調整のしやすさです。

プレス機構をルミナスポールへ固定しているので、固定部分を緩めて上下にスライドさせるだけで高さを変更できます。

薄い物を加工するとき。

厚い治具を使用するとき。

先端工具を交換するとき。

作業内容に合わせて簡単に位置を変えられます。

プレス機の場合、対象物と先端工具の距離が離れ過ぎるとストロークを無駄に使ってしまいます。

逆に近過ぎれば作業物を入れられません。

そのため、プレス機構そのものの高さを簡単に変更できるのは想像以上に便利です。

大掛かりに分解する必要もありません。

使う物に合わせて高さを変える。

非常に単純ですが、実際に使う工具としてはかなり重要な機能です。

先端にはドリルチャックを取り付けた

プレス部分の先端にはドリルチャックを取り付けました。

ここも今回のプレス機の重要な部分です。

先端を完全固定してしまうと、一つの用途にしか使えない機械になってしまいます。

しかしチャック式なら、取り付ける治具を交換できます。

専用のシャフト。

圧入用治具。

レザークラフト用の工具。

今後作る専用治具。

用途に合わせて交換できるようにしておけば、一台のプレス機を色々な作業に流用できます。

そして必要な治具は、また3Dプリンターで作ればいい。

本体を作って終わりではなく、ここからどんどん拡張できます。

以前やっていたレザークラフトにも使える

私は以前、レザークラフトもやっていました。

レザークラフトでは、

ホック。

カシメ。

刻印。

ハトメ。

その他の金具。

など、上から力を掛けて取り付ける作業が結構あります。

もちろんハンマーでも作業できます。

ただ、ハンマーで叩く場合は音も出ますし、力の掛け方によっては斜めに入ることもあります。

ハンドプレスなら、基本的に上から真っ直ぐ力を掛けられます。

治具さえ用意すれば、以前やっていたレザークラフトにも十分活用できそうです。

一つの専用機械として作るより、色々な作業に使える工具として作った方が私には合っています。

マグネットなどの圧入にも使いたい

今回ハンドプレスを作った理由の一つが、部品の圧入です。

3Dプリンターで商品を作っていると、別部品やマグネットなどを押し込んで組み立てることがあります。

数個だけなら手作業でも問題ありません。

しかし商品として何十個、何百個と作るようになると話が変わります。

毎回手で押し込んでいると疲れますし、押し込み量も一定になりません。

専用治具を作ってハンドプレスで圧入できるようにすれば、

位置を合わせる。

レバーを下げる。

取り外す。

という単純な作業にできます。

商品を作る場合、こういう作業の単純化はかなり重要です。

一個作れることと、同じ物を大量に安定して作れることは別問題です。

自作工具や治具は、その差を埋めるための設備でもあります。

3Dプリント部品は積層方向がかなり重要

今回の製作では一つ失敗もありました。

最初に作った固定パーツでは、ポールに固定する際に「パキッ」と音がしました。

原因として考えられるのが積層方向です。

3Dプリント品は、同じ形状でも印刷方向によって強度が大きく変わります。

特に積層面を引き剥がすような方向へ力が掛かると弱くなります。

見た目だけを考えて印刷方向を決めると、工具や治具では問題が出ることがあります。

どこに力が掛かるのか。

ボルトを締めたときにどちらへ変形しようとするのか。

積層面にどの方向から荷重が掛かるのか。

実用品を3Dプリンターで作る場合は、このあたりまで考える必要があります。

フィギュアなどとは少し違う、3Dプリンターの面白いところです。

全部を3Dプリンターで作る必要はない

3Dプリンターを使った物作りというと、何でも樹脂で作りたくなります。

しかし今回のプレス機を作って改めて感じたのは、

「全部3Dプリンターで作る必要はない」

ということです。

支柱には金属製のルミナスポール。

力を発生させる部分には既製品の金属機構。

先端にはドリルチャック。

それらを接続する特殊な形の部分だけを3Dプリンターで作る。

この組み合わせが非常に使いやすいです。

市販品には、安くて強くて大量生産されている優秀な部品がたくさんあります。

そこまで自作する必要はありません。

既製品で足りない最後の部分だけを自分で作る。

3Dプリンターは、こういう使い方をすると一気に実用品の幅が広がります。

今後の物作りや商品販売にも使っていきたい

今回のハンドプレスは、これを作ること自体が目的ではありません。

むしろこれからが本番です。

今後、

部品の圧入。

商品の組み立て。

専用治具を使った位置決め。

レザークラフト。

試作品の製作。

など、色々な物作りに使っていく予定です。

さらに商品を販売する場合、作業の再現性を高めることにも役立ちます。

毎回感覚だけで組み立てるより、専用治具を作って同じ位置までプレスする方が品質も安定します。

一つ一つの商品を作る時間が少し短くなるだけでも、数が増えれば大きな差になります。

自分が欲しい物を作る。

それを使って新しい物を作る。

さらにそこで生まれた物を商品として販売する。

こうやって製作環境そのものを少しずつ強化していくのも、個人で物を作る面白さだと思います。

自作工具は完成してからが始まり

今回作ったハンドプレスは、現時点でも使える状態になりました。

しかし、まだ完成形とは思っていません。

実際に使えば、

ここをもう少し変えたい。

この治具が欲しい。

この高さの方が使いやすい。

もう少し剛性が欲しい。

といった部分が必ず出てきます。

そのたびにCADを開いて設計を変更し、必要なら新しい部品を印刷する。

こうして工具そのものを自分の作業に合わせて成長させられるのも、自作の大きなメリットです。

まとめ

今回は、ルミナスポールと3Dプリンターを組み合わせてハンドプレスを自作しました。

最初は3030アルミフレームなどを使った大掛かりな構造も考えていましたが、必要な機能を考えていくと、もっとシンプルな構造で作ることができました。

特に便利なのが、高さを簡単に調整できること。

作業物や治具の厚みに合わせてプレス機構の位置を変更できるため、色々な用途に対応できます。

さらに先端をドリルチャック式にしたことで、治具を交換すればレザークラフトから部品の圧入まで幅広く使えます。

以前やっていたレザークラフトにも使いながら、今後は3Dプリンター製品の商品製作や、新しい商品の開発にも活用していく予定です。

市販品を買えば一瞬で解決することもあります。

でも、自分の作業に合わせた工具を自分で作れるようになると、今度はその工具を使って次の物が作れるようになります。

工具を作るための工具を作り始めたら、かなり深いところまで来ている気もします。

でも、この沼はなかなか面白いです。

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